2021.1.23.Sat.

Stainless pipe chair & table.

久々の工作ネタでございます。自粛期間に仕上げてしまおうということで本日無事完成。自分だけのソロキャンプ家具が欲しい…と思い至って構想二年くらいだろうか。この形で作ろうと考えてからも一年以上経過しているので、自分的にはようやくの完成。これまで、素人なりにごまかしつつ製作を楽しんでは来たものの、椅子にテーブル、ましてや金属加工となると自分の工作技量の範疇を超えていて、作家さんにコンタクトを取ってはお断り(意匠を商売にしている人は他人の言うがままには作りたく無い)、加工業者に図面を見せてはお断り(こんな単発の面倒な依頼は受けたくない)を繰り返す中で、ようやく出会った業者さんとやりとりしながらハーフセルフビルドくらいの感じでようやく完成させることができた。動き出すとあっという間。こういうのはホントにご縁だなと実感。

基本コンセプトはシンプル。妥当性に乏しい意匠は取り入れない。地面に接するところや、剛性の必要な構造体はステンレス。人が触れる部分は木材。量産品、一般流通する条件で求められる過剰な剛性は考慮せず、パイプ径も野暮ったくない13mmで製作。大体の量産製品ってパイプの太さでどうしてもスッキリしない。結合部の過剰なパーツ構成やステーなどでどんどん野暮ったくなってしまう。今回は個人使用だし、(壊れるのは嫌だけど)ギリギリのところを攻めたことでスッキリした印象に仕上げることができた

このブログを始めた時にも書いていた「いい道具に囲まれて」。道具なんてなんでも良いよ〜と言うのが理想なのだろうけど、まだまだ煩悩だらけでその境地には達せそうにない。そんな中、元々いいモノとして評価されていたはずなのに、全く別の付加価値がついてしまって作り手も使い手も不本意なことってあると思うんだけど、(ベンツの◯クラスで来てジ◯ドームと◯ビリオンで設営とか、なぐり加工の木製グリップを一体何本ぶら下げてるんだ…みたいな…毒)ああいう雰囲気を纏ってしまうと、自分としては手に取る気持ちが一切なくなるし、自分が所有しているものも、そういう匂いがしてくると気持ちがサーッっと離れてしまう。自分もキャンプを始めてもれなく沼にハマってきたけれど、この沼から脱出する方法は一つしかない。というと大げさだけど、匿名性が高くて(誰もそれが何か気づかない)かつ道具として完成度の高いものを見つけ出すか、自分で作る。その二択しかないな…という思いに至ったのもこの椅子とテーブルをつくるモチベーションになった。孤高というには程遠いけど、「ありそうでなさそう」、使用想定し尽くした機能性の高い道具ができたと思う。

タープからLED吊るして…というのがソロ時の照明だったけど、タープが重みでたるんだり、照度がたりなかったり、設置が面倒だったのでテーブルと一体化したいなと考えていた。最近はデスククランプのランタンハンガーを多く目にするけれど、あまのじゃくで使いたくなかったのとせっかくのテーブルの雰囲気が台無しなのでハンガーも作ってみた。テーブルの穴に差し込んで裏で固定する仕組み。精度もバッチリで気持ちいい。

座面の素材選択は悩んだ。当初帆布も考えたんだけど、ちょっとクラフトに寄りすぎるというか、もう少し高機能な生地の方が面白いかなと考えてバリスターナイロンで制作。サンセットクライマックスさんの座面がバリスター二枚合わせだということで、これはアイデア頂こうと。ただ、現物もないので実際どう合わせるんだ?とか、マックスだと四つ折りや八つ折りの部分が出てきてミシン無理でしょ…とか色々壁にぶち当たったけど何とか完成。伸びには強いし、テンションが高くて座り心地も最高。サンセットさんの二枚合わせは生地の向き(よく伸びる向きを考慮して)を90度回して合わせることで伸びを相殺しているとのこと。恐れ入ります。

従来の道具作りと比べて検討事項や悩んだことも多かったけど、それに伴い納得度の高いものができたと思う。今後ソロキャンプの道具選びを行なっていく上でガイドラインができたというか、このテーブルと椅子の延長線上で考えていけば本来、本意の「良い道具に囲まれる」キャンプに近づけそうな気がしている。当面クラフトはひと段落だけど、このテーブルと椅子はバラしてコンパクトにもできるのでキャリーバックでも考え始めようかなと。まずは自粛が明けたらソロキャンプだな。